難易度の高い「LED点滅」の検知を技術の組み合わせの発想でクリア ――TOKAIコミュニケーションズの「LED監視自動化サービス」ができるまで(後編)

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難易度の高い「LED点滅」の検知を技術の組み合わせの発想でクリア ――TOKAIコミュニケーションズの「LED監視自動化サービス」ができるまで(後編)

データセンターのサーバーなどの稼働状態を人手で確認している業務を、カメラ映像とAIによる画像解析で自動化する「LED監視自動化サービス」の提供が2021年8月に始まりました。提供するのはTOKAIコミュニケーションズ。フューチャースタンダードと共同で開発したものです(サービス開発の経緯は関連記事:前編 参照)。TOKAIコミュニケーションズITサービス本部サービスイノベーション事業部 IoTソリューション推進部部長の山田周策様と同部サービス課課長の佐藤稔晴様、そしてフューチャースタンダード 代表取締役の鳥海哲史、セールスエンジニアリング部部長の林幹久に、新サービス提供までの技術的ポイントを尋ねました。


――家庭向けの無線ルーターなどでもLEDが状態を知らせてくれているように、業務用のサーバーやネットワーク機器などもLEDのランプによって状態を通知する仕組みがあります。このLEDを監視する業務を効率化するソリューションが「LED監視自動化サービス」ということですね。

山田氏:データセンターや中継局設備の運用監視業務では、管理システムによる監視のほかに、目視でサーバーやネットワーク機器のLEDの点灯状態を確認して死活監視をする業務があります。これは人手が必要な業務で、巡回では頻繁に監視することができません。IoTソリューション推進部として、AIやIoTを活用した新しいサービスを企画することになったとき、社内のデータセンター事業の現場にヒアリングして浮かび上がってきたのがLED外観監視業務の自動化でした。内製を検討していましたが、人的リソースや技術的なハードルの高さから、外部との共同開発を進めることにしました。

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<株式会社TOKAIコミュニケーションズ 山田様(左) 佐藤様(右)>


――サーバーなどのLEDはどのように点灯するのですか。

山田氏:機器によって様々なパターンがあります。点灯しているときが「正常」である機器もあれば、消灯しているときが「正常」なものもあります。ランプの色が変わったり、点滅したりすることで「異常」を報せる機器もあります。とは言え、特定の機器では「正常」のパターンと「異常」のパターンは決まっているので、人間はそのパターンに沿って監視して、異常な状態のハードウエアを見つけ出すことができるのです。この人間の「眼」と検知する「知識」の部分をAIの活用によって機械に任せられるようにして、業務の効率化を図ろうとしました。

鳥海:カメラで動画を撮影して、その情報を分析すれば、LEDの点灯状況は容易に把握できそうです。しかし、実際には高いハードルがありました。特に「点滅」を判断するのが難しいのです。1つの方法としては、動画を撮影して、そのデータを元にAIに学習させてモデルを作り、分析することが考えられます。ところが、この方法がうまくいかないのです。

――それはどのような問題があるからでしょうか。

鳥海:動画を撮影するカメラは、周囲の状況に合わせて適切な明るさの動画を撮るために自動的に露出を調整します。要するに、点滅の情報がデータの中で自動的に平準化されてしまうのです。私たちはAIを活用した映像解析プラットフォーム「SCORER」を提供し、カメラの画像を入力データとした映像解析の実用化を支援してきた経験から、動画からLEDの点滅を認識するとは異なる方法が適していると感じ取りました。すなわち、カメラを「光学センサー」として利用する方法です。

――カメラを動画撮影の道具としてではなく、明るさのセンサーとして使うのですね。

鳥海:はい。カメラの露出を固定し、カメラの特定の画素で得られる明るさの情報を物理量として取り扱うアイデアです。これならば、LEDを撮影している部分の画素の明るさを時系列に取得することで、点灯、消灯、点滅の状態を検出できるはずです。そうなったら検証です。手許にあったUSBカメラを使って、デスクの下のNAS(ネットワークストレージ)のLEDを撮影してみたところ、うまく行きそうだと確信できました。この「センサー」のデータを画像解析のアルゴリズムと組み合わせることで、LEDの状態を検知し、機器が正常か異常かを判別するシステムのアイデアが生まれました。

プラットフォームの活用と積み重ねた知見がぴったり要望にフィット

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――実際に、LED監視のシステムをつくりあげる際にプラットフォームとしてのSCORERはどのように役立ちましたか。

林:これまでに工場の盤面検知の事例で、カメラを光学センサーとして使ったことがあり、今回のLED監視のシステムも現場レベルでは同じ担当者に開発を任せました。手探りで初めての開発をするというよりも、過去の経験を生かせる案件としての手応えが強く、「できない」という心配はなかったです。プラットフォームとしてSCORERを使うことで、これまでの経験にある多くのパーツを容易に組み合わせて開発ができ、無理なく要件に応えられたと感じています。

山田氏:複数の会社に要件定義を伝えて相見積もりを取ったのですが、画像処理が得意という会社であっても「AIを使えばできるかもしれない」といったニュアンスを感じました。一方でフューチャースタンダードは、すぐに技術的な裏付けのある回答をくれましたから、他に選択肢はなかったと思います。

鳥海:動画データをそのままAIで学習してモデルを作ったとしても、コストと時間がかかった挙げ句に適切な答えが得られない可能性があります。それならばカメラをセンサーとして使い、正常か異常かを判定するアルゴリズムにきれいな入力データを渡したほうがいい。プラットフォームとしてSCORERがあることで、そうした判断をして組み合わせてシステムを開発することが容易でした。

――コスト面での判断はいかがでしたか。

佐藤氏:「検知率は100%、誤検知率は10%未満」という要件に対して、最も実現性が高く、その上で一番リーズナブルな価格で提示があったのがフューチャースタンダードでした。LEDの監視は、自動化サービスとして提供することがゴールです。データセンター事業者に人手による目視確認の業務を効率化してもらうためには、一定水準以下のコストで提供しなければ使ってもらえないからです。

鳥海:SCORERの特徴は、プラットフォーム上のそれぞれパーツが検証不要で組み合わせて利用できるところにあります。今回は、入力センサーとして汎用のUSBカメラモジュールを使い、映像データを汎用の小型コンピューターの「Raspberry Pi」で解析し、そのデータをクラウド上の映像解析AIプラットフォームにアップロードするという組み合わせを採用しました。汎用の機器とクラウドを組み合わせることで、低コストでの提供を実現しました。

実証実験で止まることなくサービス化の「実利」を得る

――サービスとして提供するに当たって、苦労したことはありますか。

佐藤氏:サーバーなどの遠隔監視サービスは、他社も開発したり一部で提供したりしています。私たちは、人間の目視と同じ「LEDの点灯を見る」方法で、リーズナブルに監視を自動化する方法を選びました。こうした新しい手法に対しては、実証実験までは進んでも、サービス化への壁が高いことも事実です。検知する仕組みだけでなく、低コストで導入できるハードウエアの選定や、収集したデータを集めて分析するクラウドのプラットフォームの準備や運用など、トータルのサービスとしての作り込みが必要です。その上で使いやすいアプリケーションが求められます。他社が超えられない壁を、フューチャースタンダードと共同開発することで乗り越えられたと感じています。

前編はこちら
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会社名
株式会社TOKAIコミュニケーションズ
所在地
静岡県静岡市葵区常磐町2丁目6番地の8 TOKAIビル
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https://www.tokai-com.co.jp/index.php
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