AI活用で新サービス、データセンターのサーバーを監視する「眼」を提供――TOKAIコミュニケーションズの「LED監視自動化サービス」ができるまで(前編)

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AI活用で新サービス、データセンターのサーバーを監視する「眼」を提供――TOKAIコミュニケーションズの「LED監視自動化サービス」ができるまで(前編)

2021年8月、TOKAIコミュニケーションズはデータセンターや通信事業者の中継局などの設備のLED監視を自動化する「LED監視自動化サービス」の提供を開始しました。新サービスは、AIシステム開発を手掛けるフューチャースタンダードと共同で開発したものです。開発に携わったTOKAIコミュニケーションズITサービス本部サービスイノベーション事業部 IoTソリューション推進部部長の山田周策様と同部サービス課課長の佐藤稔晴様、フューチャースタンダード 代表取締役の鳥海哲史に、新規ビジネス開発までの取り組みを尋ねました。


――「LED監視自動化サービス」とは、どのようなサービスですか。

山田氏:データセンターや通信事業者の中継局などの設備では、サーバーやネットワーク機器のLEDの点灯状態を見ることで、機器の稼働状況を監視する業務があります。これまで、サーバーや機器のLEDランプの状態を確認する業務は、担当者が目で見て確認する目視確認で行っていました。LEDランプの状態の判定を、AI技術を活用してカメラで撮影した映像を使って自動的するのがこのサービスの狙いです。

鳥海:フューチャースタンダードにお話をいただいたのは、2020年の3月頃だったと思います。IoTソリューション推進部では、LED監視自動化サービスの提供までにどのような取り組みをしてきたのですか。

山田氏:IoTソリューション推進部は、AIIoTなど新しい技術を利用したサービスを企画、構築、運用する部署として2018年に部として設立されました。4年目の現在までに、サーバールームの空調の遠隔監視、通信事業者の基地局の中継局設備の無人監視のサービスを提供しています。LED監視自動化サービスが3番目のサービスになります。

人手不足のデータセンター事業で運用監視の自動化サービスを企画
LED監視サービスイメージ図

――LED監視自動化をサービスとして企画した経緯を教えて下さい。

山田氏:IoTソリューション推進部ができる前から、AIIoTを活用した新サービスの構築を手掛けていました。自社の業務改善につながることが、提供するサービスとしても価値を生むだろうという判断から、社内に業務ヒアリングをしていきました。効率化できることはないかと尋ねていくと、「LEDの外観監視」という業務で効率化が求められていることがわかりました。

佐藤氏:IT業界というと先進的で華やかな印象があるかもしれませんが、データセンターの運用監視業務は地道なものです。人手不足や担い手の高齢化といった課題は、当社だけでなく多くのデータセンター事業者が抱えています。LEDの外観監視は人間が定期的に見守る業務で、これを自動化できれば業務効率化が進むことが期待できます。AIなどを活用すれば実現できそうだけれど、当時はハードルが高そうだねということでいったんお蔵入りになっていました。

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<株式会社TOKAIコミュニケーションズ ITサービス本部サービスイノベーション事業部IoTソリューション推進部 部長 山田周策 様>

――そうした状況から具体的な開発を進めるようになったきっかけは。

山田氏:IoTソリューション推進部ができたことです。部としての具体的な取り組みの1つとしてLED監視の自動化が再浮上してきました。人手不足対策、運用コスト削減といった課題に貢献できるソリューションとして実現可能性を改めて探ることにしたのです。IoTソリューション推進部内に動画撮影したデータからLEDの状態を検知するといった技術に精通しているメンバーがいなかったため、隣接する部署からエンジニアをヘルプで呼んで実証を始めました。その時点で、8割ぐらいの精度でLEDの状態を検知できるところまで進みました。しかし、ヘルプのエンジニアを本格的にプロジェクトに投入することができなかったことと、これ以上の精度向上を迅速に実現するには専門的な知見が必要と考えられたため、外部の協力を仰ぐことにしました。

佐藤氏:要件定義書をまとめて、複数の外部企業に声を掛けたのが2020年3月頃のことだったというわけです。鳥海さんのフューチャースタンダードもその中の1社でした。要件定義書では、検知の精度の目標を「検知率は100%、誤検知率は10%未満」として、各社に見積もりを依頼しました。

山田氏:検知率100%というのは、機器のランプの点灯状態から判別できる異常は絶対に見逃したらダメだという判断です。逆に正常な状態を異常と検知してしまうのは、一定の割合で許容しようという要件でした。

複数社の相見積もりでハードルが高かったLEDランプ監視

――複数の企業に見積もりを依頼した結果はどのようなものでしたか。

佐藤氏:サーバーやネットワーク機器のLEDは、装置ごとに「この状態のときは異常が発生している」といったことがはっきりしています。パターンとして見逃すことはなく、それほどハードルは高くないかと思っていました。ところが、これがかなり面倒な要件だったようです。見積もりを依頼した中で、LEDの点滅も含めた点灯状態をきちんと検知できるということを論理的に説明できたのはフューチャースタンダードだけだったのです。他社は、「やってみればできるかもしれない」という回答でした。

鳥海:フューチャースタンダードでは、AIを活用した映像解析プラットフォーム「SCORER」を提供してきました。カメラで撮影した映像を解析して、手軽に低いコストで課題を解決できるようにするクラウド型のプラットフォームです。今回のLEDランプの監視のお話を頂く前にも、カメラ映像を使った工場の盤面検知ソリューションなどを手掛けていました。映像解析の豊富な経験から、手持ちの技術のパーツを組み合わせることでLEDの点灯や点滅を検知することは可能だと感じました。

山田氏:初めて鳥海さんに相談したとき、私たちの要件定義に対してその場でもう頭の中に算段ができているようでした。普通はこうした見積もり依頼をして、数週間後に「こう考えました」「ここまでできました」といった連絡があるものですが、フューチャースタンダードは翌日には「できました」と連絡をくれました。スピード感と技術力の双方で、他に選択肢はないだろうと直感しました。

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<株式会社TOKAIコミュニケーションズ ITサービス本部サービスイノベーション事業部IoTソリューション推進部サービス課 課長 佐藤稔晴 様>


――コスト面も含めて、総合的にフューチャースタンダードを選定したということでしょうか。

山田氏:はい。「こんなことをやりたい」という要望に対して、普通では考えられないリーズナブルな価格の提示がありました。自作でもこのコスト感では到底実現できないでしょう。

鳥海:SCORERは、カメラからAIエンジン、画像解析ツールなど、数多くのパーツを用意しています。出来上がっているパーツを組み合わせて、要望に合わせて逆算でソリューションを作るため、短期間に低コストで開発できるのですね。今回はSCORERとして決まった料金体型で提示したところ「安い」という評価をいただきました。

山田氏:サービスとしてLED監視自動化を提供するとなると、人手の外観監視のコストとの兼ね合いになります。人手では1日に1回などの限られた回数の監視しかできませんが、LED監視自動化サービスでは5分に1回の監視を提供します。サービスレベルが上がるので、本来であれば人手よりも高い料金設定にしたいところですが、現場からは低コストのサービスを求められます。そうした中で想定していたコスト感よりも、フューチャースタンダードはさらに低い値段で提案してくれました。スピード感と技術力だけでなく、コストでもメリットを提示されたので、フューチャースタンダードと共同開発を進めることにしました。

――サービス開始までにはどのような取り組みを進めましたか。

山田氏:2020年3月にプロジェクトを開始し、まずはLEDランプが検知できるのかを確認しました。技術的に検知性能が問題ないことを確認して検収したのが6月ごろのことで、その後はスタンドアロン型で稼働するプロトタイプを作り、その後にβ版として周辺機器も含めて検知結果をメールで通知するシステムを作りまた。β版の納品が12月ごろでした。さらに、サービス提供に向けて、数百台のカメラと端末を管理できる管理画面などを作って、2021年8月のサービスインにこぎつけました。

鳥海:LEDの状況を検知するという技術的な側面を検証し、その後にサービス提供へ向けたシステムの構築をするというステップで進めてきました。このようなサービス開発の案件として、かなりスピード感のある対応ができたと感じています。

山田氏:開発中にデータセンター事業者にヒアリングしてみたところ、「いいね、できたら教えて」といった声を多くいただきました。ニーズを強く感じたこともあり、スピード感のあるサービス開発ができたことは良かったと思います。

佐藤氏:データセンターのサーバー監視といったソリューションは、エージェントを仕込むなどの形で他の事業者からも提供されています。しかし、人間の目視と同じようにLEDを機械の眼で見て、低コストで使えるクラウド型のサービスに仕立てたのはTOKAIコミュニケーションズだけだと思います。

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――サービス提供後の拡張計画などがありましたら教えて下さい。

山田氏:今後、サービスを実際に提供する中で、お客さまとなるデータセンター事業者などからも機能拡充などの要望があるでしょう。まずスモールスタートで提供を開始しますが、フューチャースタンダードのSCORERをプラットフォームとして利用していることで、追加の開発についても高い自由度とスピード感で対応していけると思います。

佐藤氏:データセンター事業者は、中小規模の企業では淘汰が始まっています。私たちの提供するLED監視自動化サービスを使うことで、工数をかけずに監視できる対象のサーバーを増やせることをデータセンター事業者に実感してもらい、データセンター業界の活性化につなげていきたいと思います。

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パートナー企業

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会社名
株式会社TOKAIコミュニケーションズ
所在地
静岡県静岡市葵区常磐町2丁目6番地の8 TOKAIビル
公式サイト
https://www.tokai-com.co.jp/index.php
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